水素 hydrogen 2005 10 28
実は、水素と金属は、相性がいいのです。
こうした分野について、一般の人に、わかりやすく、
本1冊分の分量で、特集コーナーを作るつもりでしたが、
あまりにも、お金と時間がかかるので、あきらめました。
以下の文章は、導入部分にするつもりで書きました。
こうした分野では、将来、画期的な「大発見」や「大発明」があると思います。
誰か、研究してくださるよう祈ります。
水素吸蔵合金 hydrogen storing alloy 2005 8 3
最近、水素エネルギー社会という言葉を、よく聞くようになりました。
ところで、水素は、どのように保存や保管するか、ご存じでしょうか。
たいていの人が、「ボンベに入れて、保管する」と答えるでしょう。
確かに、そういう古典的な方法がありますが、
現代では、金属(合金)のハイテク技術によって、別の方法があるのです。
それが、水素吸蔵合金のことです。
これは、文字どおり、水素を吸蔵する合金なのです。
こうした合金は、混合気体から、水素だけ、選択的に吸収し、
合金内に貯蔵するという働きをするのです。
驚くべきことに、合金によっては、
自分の体積の1000倍以上の水素を吸蔵するものが、いくつかあるのです。
まだまだ、水素吸蔵合金の分野は、発展途上にあります。
ですから、さらに驚くべき合金が、開発されるかもしれません。
プラチナ platinum 2005 7 18
水が、水素と酸素で構成されていることは、ご存じだと思います。
その比率は、2対1です。
だから、水素と酸素を、2対1の割合で、容器に入れれば、水ができるか。
実は、それだけでは、何も起きません。
「水素と酸素が合体して、水に変身する」という化学変化を起こすには、何か刺激が必要です。
そこで、一般的には、火花を使うのです。
しかし、火花を使うのは嫌だと言う人もいるでしょう。
そういう場合は、プラチナ(白金)を使います。
プラチナは、「水素と酸素が合体して、水に変身するという化学変化」を促進する働きがあります。
一般的に、水素も酸素も、原子レベルでは存在しません。
通常、分子レベルで、つまり、水素分子や酸素分子という形で存在します。
しかし、分子レベルでは、他の原子(元素)とは、合体しにくいのです。
つまり、合体するには、一度、分子レベルから、原子レベルに分解する必要があるのです。
そこで、その際に、火花やプラチナが、補助役として活躍するのです。
(一般的に、分子レベルを、原子レベルに分解するには、エネルギーが必要です)。
ところで、プラチナが、どうして、そういう働きをするのか、不思議でしょう。
これは、「表面の科学」という分野です。
金属は、金属原子が結晶構造になっていますが、表面の金属原子は、特殊な働きをするのです。
表面の金属原子は、他の分子を取り込んで、原子レベルに分解する作用があるのです。
そういうわけで、水素と酸素の混合気体に、プラチナを入れれば、
プラチナが、水素分子や酸素分子を分解し、
その結果、水素原子と酸素原子が合体し、水ができるのです。
金属の特性 properties of metal 2005 8 1
鉄(Fe)などの金属は、丈夫で加工しやすいというのが特徴です。
しかし、錆びやすいのが欠点です。
ところで、「錆びる」ということは、どういうことか、ご存じでしょうか。
「錆びる」ということは、「酸化した」と言えるかもしれません。
金属の表面には、特殊な作用があります。
これを、「表面の科学」と言います。
たとえば、鉄という金属の場合、鉄原子が、結晶構造を作っていますが、
「金属の内部にある鉄原子」と「金属の表面にある鉄原子」では、様子が大きく異なるのです。
「内部の鉄原子」は、上下左右、同じ鉄原子と結びあっていますが、
「表面の鉄原子」は、表面にあるため、そうなっていません。
そこで、「表面の鉄原子」は、何でもいいから、他の原子と結びつこうとするのです。
つまり、大気中の酸素原子を取り込んでしまうのです。
これが、「錆」なのです。
ここで不思議なことは、こういうことです。
酸素は、通常、酸素原子では存在せず、酸素分子として存在します。
酸素分子は、何らかのエネルギーを与えないと、酸素原子に分解しません。
それなのに、「表面の鉄原子」は、上手に酸素分子を分解して、
酸素原子として、金属に取り込んでしまうのです。
「表面の科学」というと難しくなってしまいますが、
こうしたことで、科学に興味を持っていただけたら、幸いです。
核変換 nuclear transmutation 2005 6 20
「核変換」とは、ある原子が、別の原子になることです。
皆さんは、元素周期表を覚えているでしょうか。
水素、ヘリウム、リチウム・・・・・と暗記した人も多いでしょう。
ところで、私たちが生きていく上で、重要な元素である「炭素」や「鉄」は、
どうやって、できたのか、疑問に思ったことはないでしょうか。
そもそも、宇宙の最初には、
陽子1個と電子1個で構成される「水素」しかなかったと言われます。
では、陽子や電子がたくさんある、
複雑で重い元素である「炭素」や「鉄」は、どうやって、できたのか。
それは、星(恒星)が作ったのです。
恒星は、核融合反応によって、燃えているというか、光っているのです。
つまり、水素と水素の核融合反応で、光とエネルギーを作っているのです。
その結果、水素は、核融合反応によって、ヘリウムに変わります。
さて、恒星が持っている水素も、無尽蔵にあるわけではありません。
やがて、水素が減っていき、ヘリウムが増えていきます。
そうなると、今度は、ヘリウムを燃料とするのです。
つまり、ヘリウムの核融合反応になります。
そして、その核融合反応によって、炭素ができます。
その後も、同じことの繰り返しとなります。
炭素の核融合反応で、マグネシウムを作り、
マグネシウムの核融合反応で、さらに重い元素を作り・・・・・。
この核融合反応は、いつまで続くのか。
それは、鉄ができた段階で終わります。
鉄は、一番安定性の高い元素と言われていますので、さすがに鉄の核融合反応はありません。
すると、こんな疑問を思いつくでしょう。
確か、鉄より重い元素が、たくさん、あったはず。
それは、どうやって、できたのか。
こうした鉄より重い元素は、超新星爆発によって、できたのです。
恒星の内部に、鉄ができた段階で、核融合反応ができず、恒星全体が、爆発を始めるのです。
こうして、超新星爆発によって、重い元素を、宇宙空間に、ばらまくのです。
そういうわけで、私たち人間は、「星の子」と言われます。
人間が生きていく上で、大切な「重い元素」は、星(恒星)が作ってきたからです。
しかし、話は続きます。
実は、「重い元素」は、そんなに手順よく、できないのです。
炭素の核融合反応を起こすことができる恒星は、
太陽質量の8倍から10倍ぐらいの恒星と言われます。
同じく、マグネシウムなどの核融合反応を起こすことができる恒星は、
太陽質量の10倍から30倍ぐらいの恒星と言われます。
私たちの恒星である太陽は、平均的な大きさと言われます。
太陽クラスの恒星では、炭素ができた段階で、核融合反応は終わるのです。
炭素の核融合反応を起こすほどのパワー(力)がないのです。
最終的には、炭素でできた「黒色わい星」となって、星の一生が終わるのです。
もちろん、超新星爆発を起こすパワーもありません。
だから、宇宙空間に、炭素という元素を、ばらまくことはないのです。
こうしてみると、地球に、たくさん存在している「重い元素」が、
巨大恒星の超新星爆発によって、すべて調達されたと考えるのは、無理があります。
地球レベルで、「重い元素」ができるシステムはなかったのか。
地球においても、核変換によって、「重い元素」ができた可能性を考えるべきです。
「重い元素」の製作を、
すべて巨大恒星の「核融合反応と超新星爆発」に依存するのは、無理だと思います。